ランニングと海が

海まで走って一休み。帰りも走るつもりが、気が変わってのんびり歩く。そんな日々も気づけばかれこれ30年近く。還暦を過ぎて、定年退職と転職さらには離婚と身辺には大きな変化がありました。新しい仕事にもようやくなじんで来たところです。単身生活にもすっかり慣れて、行動範囲を広げつつあるgayの身辺雑記。

名月を

取ってくれろと泣く子かな

という句を遺したのは、小林一茶。さすがというしかない。

子供の頃、この句に接した時なんとも複雑な気分だったのを覚えている。当時はこの句に詠まれた「子」に自分を投影していたのだろう。こんな素直な性格だったら、幸せだろうなぁ…と感じて、ひねくれた我が身を嘆くとともに、そんな自分をどこか誇らしく思っているという面倒臭さ。自意識過剰と言ってしまえばそれまでだが、要するにそういうタイプの子供だった。

時が流れて、あとふた月もすれば還暦である。面倒臭い部分は、本質的には全く変わっていない。多少は経験を積んで、表し方を身に着けたおかげか、周囲の人とも和やかに接することが出来て、ここ二十年くらいで知り合った人たちは、私のことを「楽観的で社交的」だと美しい誤解をしてくれているようだ。

「名月を取ってくれろ」と言えなくて 父の背中で 唇を噛む

昔の自分に、そして似たタイプの沢山の方々に捧げる一首。